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執筆者の写真信吾 田中

優しさとは

更新日:2022年9月12日

私は、介護の仕事をする上で、一番必要なことは優しさだと思っています。

当社の従業員にもご利用者様に優しく接することを求めています。


でも優しく接するって具体的には、どういうことでしょうか?

そもそも優しさって何なんでしょうか?

ひとりひとり答えの違うものかなと思います。


しかし、私たちは、仕事としてご利用者様をチームでケアをしていく以上

ひとりひとりの考えが、あまりに違いがありすぎたり、バラバラだったりすると…

利用者様が、困ってしまいます。


そこで、私なりのひとつの指針を提示させて頂きたいと思います。

吉野弘さんの『夕焼け』という詩が表す概念が、優しさというのに一番近いと感じています。


◆◇◆


夕焼け いつものことだが 電車は満員だった。 そして いつものことだが 若者と娘が腰をおろし としよりが立っていた。 うつむいていた娘が立って としよりに席をゆずった。 そそくさととしよりが坐った。 礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。 娘は坐った。 別のとしよりが娘の前に 横あいから押されてきた。 娘はうつむいた。 しかし 又立って 席を そのとしよりにゆずった。 としよりは次の駅で礼を言って降りた。 娘は坐った。 二度あることは と言う通り 別のとしよりが娘の前に 押し出された。 可哀想に。 娘はうつむいて そして今度は席を立たなかった。 次の駅も 次の駅も 下唇をギュッと噛んで 身体をこわばらせて---。 僕は電車を降りた。 固くなってうつむいて 娘はどこまで行ったろう。 やさしい心の持主は いつでもどこでも われにもあらず受難者となる。 何故って やさしい心の持主は 他人のつらさを自分のつらさのように 感じるから。 やさしい心に責められながら 娘はどこまでゆけるだろう。 下唇を噛んで つらい気持ちで 美しい夕焼けも見ないで。


◆◇◆


相手のことを自分のことのように考えることが、優しさであると思います。

優しく接するというのは、ご利用者様をひとり、ひとりの人間として、その人のことを考えるということだと思ってます。


同時に私たちはプロである以上は、考えるだけでなく、その優しさを親切という形で実行しなくてはなりません。

一般的には、親切というのは、席を譲るなど往々にして自己犠牲を伴います。

しかし、私たちは、仕事として対価を得ることが出来ます。


人に親切なことをして、お金までもらえるなんてラッキーですね(笑)

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